中小企業の組織づくり。つまりチームのパフォーマンスをあげる方法論についてですが、これは超難解なテーマの1つだと思います。
理論の上では以下の3つのステップだと思います。
①具体的な目標(ビジョン)を伝え
②役割と責任を与え、理解してもらい
③適切に評価できる仕組みを作る
とはいえ、その言葉通りにはいかないのが現実です。
中小企業はいわゆるオーナー社長が経営している場合が多いです。創業者あるいはその家族です。論理よりも「オレがルール」という会社が多いのです。
そんな中小企業のマネジメントを語る時、一体どの文脈で語ればいいのでしょうか?
この疑問が重要なのは、誰目線で語るかによって議論の内容が変わってくるからなのです。
10の文脈
①そこで働く従業員目線なのか?経営者目線なのか?
②1億円プレーヤーがごろごろいる組織か?平均年収250万円の組織か?
③経済合理性(競争優位)の文脈からか?
④働き甲斐や自己実現の文脈からか?
⑤利益最大化の文脈から語るのか?
⑥働きやすさから語るのか?
⑦短期で見るのか長期で見るのか?
また、それを一体誰が評価するのでしょうか?良し悪しの基準はあるのでしょうか?
⑧業績が良い会社=マネジメントの良い会社なのでしょうか?
⑨離職率が低い会社=マネジメントの良い会社ですか?
また、組織の成長段階の違いによって、求められる要素も違うと思います。
⑩創業間もない会社なのか?業界トップの50年企業なのか?
ざっと考えただけでもこれだけ多様な文脈があるのです。
正解はないが不正解はある
これだけ論点が多様にあることからも、組織マネジメントには全ての会社に当てはまる「正解」はないというのが僕の結論です。
法人(会社)である以上、外部の人が組織マネジメントを評価しようと試みるのは無責任な内政干渉だと思います。
中にいる人にしかわからない事情がたくさんあるからです。
経営者側と従業員側。管理職側と一般社員側でも事情の捉え方が違うことでしょう。
「中立的に判断して」とか「公正に判断する」とか言う人がいますが、実に抽象的であいまいな表現で机上の空論に聞こえます。
だから、どこまで議論しても正解にたどり着くことはないのでしょう。
組織マネジメントを語る上で、まずはこの大前提を理解しておくことは意義深いことなのだと思います。
正解がない一方で、不正解はあると思います。
同調性と同質性が高い組織は長期で見ると発展しにくいです。社員から考える力を奪うことになるからです。
リーダーがチームの勝利より個人の利益を重視するチームは遅かれ早かれ自滅します。リーダーがメンバー一人ひとりに関心を示さないと、管理職もそれにつられて自分の利益だけを追求するようになるからです。
差別、パワハラ、セクハラ、いじめ等は今となってはそのほとんどが法律で裁く対象となっているのでマネジメント文脈で語らなくとも法廷で片付くことなのでここでは省きます。
「士気が下がる」「パフォーマンスが落ちる」等の要因を考える時、上記の不正解要因を除けば、全ての企業に当てはまる要因はめったにない気がします。
どんなチームをめざすのか
チームの中では誰かにとって悪なことも、別の人にとっては大したことではなかったり。
逆に、誰かにとって心地良いことも、別の人にはそう感じないことはあります。
次の2つのパターンを比べてみて下さい。
A.一体感のあるチームが良いチームなのか?
B.一匹オオカミの集まりではパフォーマンスは下がるのか?
AとBのどちらが正解なのかも一概には言えません。
置かれている状況や会社の成長段階によっても違いが出てくることでしょう。
外から見るとチームの一体感があるいわゆる結束が強いチームも、実は中に入ってみると一匹狼揃いのチームであることも珍しくありません。
この辺が組織マネジメントの難しさであり、同時におもしろさであり味わい深さでもあるのだろうと。
一般論より具体論
経営者のみなさんには「働きやすい会社」とか「若者が活躍する会社」のような一般論には耳をふさぎ、周囲の反対を押し切るくらいの信念を持って独自路線を突っ走るパワーをもってほしいと願います。
「優秀な経営者=良い人」では必ずしもありません。世界を見れば、なるほどと思えるケースにあふれているのではないでしょうか。
それだけ経営は難しいし、市場の中で勝ち残っていくためには理屈ではない厳しさが求められるのだと思います。
ちなみに、剛腕で知られる織田信長は優秀なマネージャーだと思いますか?
豊臣秀吉を世に送り出した歴史を動かした人ですよ。
最後までお読み頂き誠にありがとうございました。
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