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高い目的意識を掲げる活動にKPIは必要か?

更新日:2023年4月19日



地方で様々な経営者とお会いしますが、会社の課題はまさに十人十色。2つとして同じモノはないと日々実感しています。

「会社=人」であり、多くの人が有機的に影響し合う組織であることからも、同じ課題がないのは当然なのでしょうが。


あらためて思うのは、経営課題の改善策としてどこかの会社で成果が出た「成功事例」をそっくりそのまま勝ちパターンとして導入する動きには、冒頭の状況からして恐ろしさしか感じません。


そんな中、最近よく見かけるようになったのが、なんでも数値化、見える化、データをとってPDCAを回そうとする動きです。PDCAを回すことでコツコツ業務改善を図る手法です。




時代とともに進化した経営手法

確かに、論理的な判断基準をもたずに何でも経験と勘頼みだっていた頃に比べれば経営も進化しているとは思います。


私も向き合う状況や目的によってはこの手法をとります。使い方次第で実に有効な手法です。

だからといって、あらゆる課題に対してKPI設定ありきで課題解決を図ろうとする姿勢には疑問を感じます。


なぜなら各社には、それぞれ独自に大切にしている価値基準や文化、何より実現したい理念があり、必ずしも全ての会社が売上と利益を追求することを目的としているわけではないからです。


売上と利益を追求することを最優先事項に掲げている会社にとっては、KPIを設定しPDCAをまわす手法は経営者が期待する成果を得やすいとは思いますが。

   

また、会社のおかれている段階によっても選ぶべき手法は変わるはずです。

創業間もない黎明期にある会社と、一定の取引先と社員と顧客を持っている会社ではおかれている状況が違い、それに伴い課題の質も違うからです。


このように、優れた手法とはいえ、あらゆる課題をデータを使って合理的な判断を下そうとする動きには無理があると感じています。



KPIと相性の悪い具体例

その中でも特に、目的意識が特に高い活動に対してKPIを設定することは相性が悪いようです。


例としていくつかあげると


例)1.自社主催の地元のサッカー大会事業

  2.毎年社員総出で行っている森林を守る活動

  3.毎朝の全社員で行う朝礼前の掃除

  4.SNSやオウンドメディアでの情報発信活動

  5.良い人材獲得を目指す採用活動


これらの活動に、1人当たり生産性や効率、費用対効果、問い合わせ数、フォロワー数、PV数等の数字による評価基準を持ち込もうとすると、そもそもの活動の目的が薄まり、結果として活動が目指す方向性から乖離することになります。


中間指標が悪いからと活動をやめてしまうくらいなら、はじめからやらないほうがいいのではないかと思うのです。



採用活動とKPI

採用活動はどうでしょうか?

SNSや採用webサイトを運営している会社であれば、KPIとして考えられるのはフォロワー数、PV数、エントリー数、内定辞退率等があげられると思います。


ちなみに、以下のことを考えたことがあるでしょうか。


採用活動は何のためにするのか?

採用活動にとっての最終的な成果は何か?

「良い採用活動」とは?その定義は?


以上のようなことを考え議論したことはありますか?

「良い採用活動とは」の定義を社内で議論しすり合わせ、その定義を浸透させることができていますか?

採用活動の目的は「良い人材を採用すること」では決してないと私は思うのです。


例えば、次の2つの事例ではどちらの採用活動がより成果が高いと言えるでしょうか。


1.採用戦略Aによって、優秀な人材が20人入社して3年後定着率100%。ただし、10年経っても一人も幹部に就いていない。


2.採用戦略Bでは2人しか入社せず、その内1人が1年後に退職。ただし、残った1人は最年少社長になり業績を5倍に押し上げた。


結果としてどちらの採用活動がより会社に貢献したと評価できるでしょうか?

一概には判断しにくいはずです。


ここで、KPIを設定していたらどうなるでしょう。

きっと、前者の取り組みを「成功事例」と捉えてAの方針を継続していたはずです。


KPIを判断基準にして前者を疑うこと無く採用していたら、後者の採用戦略によって入社した後に業績を5倍にしてくれる社員は入社しなかったはずです。


長期での機会費用を積算すると、この社員が入社しなかったことによる損失額は凄まじい額になりそうです。



KPIによる勝利の方程式は成り立たない

以上のように考えていくと、冒頭でお伝えした「会社=人」であることからも「◯◯をやりきれば必ず✕✕の成果を期待できる」という方程式は、目的意識が高い課題においては成り立たないのだと思います。


活動の結果は、必ず複数の要因が複雑に関係しているので、シンプルに捉えすぎると無自覚に罠にハマります。

この現象を多くの人が「たまたま」で片付けるのですが、以上のように細かく見てみると結果が起こるべくして起きていることは明らかです。


さらに、仮説の2倍以上の成果が出たからといって大喜びし、そのプロセスを成功事例として取り上げることもリスクがそれなりにあります。


・期待以上の結果が出たのは、自分達が実行した戦略が機能した結果なのか?

・それとも戦略はベストではなかったが2倍の行動量が結果を産んだのか?

・それとも自分要因より外部環境が主要因だったのか?


これらの答えは分析してもわからないからです。


今ならコロナ感染症やインフレ等わかりやすい外部要因以外にも細かい外部要因は無数に存在します。

どこまで分析しても「◯◯をやりきれば必ず✕✕の成果を期待できる」ところにはたどり着くことはありません。


以上のようなことから、目標数字を軽く超えたからと言ってそれをシンプルに成功したと捉えないようにしています。


逆に、結果が悪かったからと言って、方向が間違っていると必ずしも疑問を持たなくてもいいと思っています。



経営者の判断は時代が変わっても難しいまま

途中経過をチェックするかどうかの判断も、数字をチェックしたとしてそれをどう捉え、その後どんなアクションをするかの判断も、これと言って正解はありません。


難しい判断である以上は、トップが責任をとって独自の判断をするしかないと思います。

まさにこれがトップの仕事です。


今後AIが発達し、今まで解明されなかった論拠の全容を見れるようになったとしても「これをやったら必ず成功する」未来への正解にたどり着くことはないと思います。


トップが判断材料を集めたい気持ちはわかるのですが、データで未来の正解が導き出されることはないので、最終的には集めたデータをどう捉えるかにかかってきます。


成功確率の高い分析データが出た時に、額面どおりに捉えて推進するのか?あるいは撤退なのか?

思いの外、結果が悪かった時は撤退なのか?あるいは、そのまま推進するのか?


総合的な判断は最も高いところから全体を見ているトップの判断力と先見性にかかってくるのです。


とはいえ、トップはその能力よりも「なにがなんでも成功させる!」という岩をも溶かす情熱と強い責任感、胆力やしぶとさがあることのほうが重要だと思っています。


なぜなら、ベストな判断(正解)がこの世にない以上は、目的を実現できるかどうかのカギは行動量とかスピードとか現場での創意工夫等の現場力によると思うからです。


そんな厳しい最前線に立ち続けるトップと共に、ご本人以上に会社に愛情を注ぎ、知恵と身体を張って目的の実現のお手伝いをする仕事を今後も続けていきたいとあらためて心に誓うのです。


今日も現場に足を運びたいと思います。


最後までお読み頂きありがとうございました。


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