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良いマネージャーはどこを見ているのか?日本の少年野球コーチと米国コーチの違い

執筆者の写真: ナカジマナカジマ

更新日:3月6日


コロナ前まで鳥取県大山町で国際少年野球大会が開催されていました。 今回は、私がそこで公式通訳を務めた時のお話です。

英語ができる人は地元にもたくさんいるのですが、その中で海外で本格的に野球をやっていた人ということで私に白羽の矢が当たったのです。


そこで驚いたのは、チームを指揮するコーチ達の子ども達へ発する言葉の違いです。日本のコーチと米国のコーチは指導法が全く違っていたのです。




コーチの指導が驚くほど真逆だった

ピッチャーが相手チームに打ち込まれ、交代を余儀なくされた場面をイメージしてください。


日本のコーチはこう指導します。「大切な試合なのに球が走っていないぞ。日頃の投げ込みが足りないせいだ。真剣に取り組まないと二度と投げさせないぞ!」とコーチ目線で一方的に指導したのです。これが選手のためだと思っているのでしょう。


それに対し、米国のコーチは手を叩いてマウンドから降りてくる投手を迎えます。そして一言「今日は運がなかったな!」と言って肩を叩くのです。指導というより激励です。

もちろん、本人を否定するような言葉をかけることはありません。


とはいえ、数分前までは自軍の投手が打ち込まれるたびに、ベンチではいら立ちを隠そうとはしませんでしたが。


米国のコーチが優しくて日本のコーチが厳しいということでしょうか。

この両者の違いは何を意味していると思いますか。


では、ここで米国のコーチの言葉と姿勢の意図を整理してみましょう。


1.目線の違い

終わった過去を見るのか?それとも良いプレーができなかった少年の未来の行動を見るのか?未来の行動を変えるには何が必要で何がそれを妨げるのかに関心を持っている。


2.課題の焦点の違い

課題はすでに明日以降のチームの強化に向いている。コーチとして眼の前の試合に勝つことも確かに大切だが、課題があらわになったからにはチームを改善する学びにしようとの合理的な考え方。


3.人格否定は無意味

日頃から野球が好きで遊びたい時間を惜しんで練習に励んでいる選手達をコーチが自ら批判するような言葉を発するのは意味がない。コーチと言えども、彼等がどのような思いでプレーをし、影でどれだけ準備してきたかを知る由はないと理解している。


たとえ、全体練習に打ち込んでいたとしても、その時にどれだけ気持ちが入っていたかもわからない。コーチからの視点だけでものごとを判断しても課題は改善されないことを理解している。


4.責任はマネージャーにある

チームの勝敗は選手一人ひとりのプレーにかかっているが、その最終責任はマネージャーにあると理解している。「選手批判=自身の指導力に対する批判」になることをよく知っている。自軍の選手のせい(他責の考え方)にしてもチームの課題は解決しないと理解している。


チームのために、自分の感情はいったん横に置き、明日への改善とチーム強化につながる方法に集中している。その目的において自分の選手に何と声を掛けるのが最も有効かに集中している。


5.選手の自尊心を下げても得られることは少ない

選手の怠慢、努力の足りなさを直接指摘したところで本人からは改善行動を期待できないことを知っている。それより本人の自尊心を引き上げることで主体的に努力する環境を整えようと働きかける。


いかがでしょうか。


感情は封印しチームの勝利だけに集中

以上の5つのように、米国のコーチはチームを改善し強化するには何が必要か?という一点に集中して言葉を選び行動しているのです。感情的ではなく合理的です。


これがプロのマネージャーの仕事です。


マネージャーとは「チームの勝利」というゴールに対する役割の一つであり、また結果に責任を負う立場であることを知っているのです。

偉い人でも独裁者でもありません。手柄を独占する立場にいるはずもありません。


マネージャーとしての役割と責任を果たすために全集中した結果、その最適な解としてこのような言動を選んでいるのです。実に合理的で自然なことです。


プロなので、そこに自分の感情やプライベート、好き嫌いを介在させようとはしません。

それをすると、自分の求める結果からむしろ遠ざかると知っているからです。

また、一連の行動を愚直にやりきる行動力と自己管理能力もプロとして備えているのです。


会社のマネージャーもプロであれ

会社の部長や課長といったマネージャーも上述した野球のコーチと同じです。

それぞれの役割と責任を果たすことが求められています。


チームの勝利(目標の達成)に集中すればこそ、課題は自ずと明確になってきます。

なので、プロ意識の高い部長はメンバー個々の結果が悪いからといって責めることはしません。


組織の課題を解決することに集中していれば、個々を責めても組織が改善することはないと知っているからです。責めるべきは選手一人ひとりではなく、そのような結果を生んだ背景と環境に目を向けなければならないのです。


さらに、チームの社員が辞めるとその損失が大きいことも知っています。統計では、月収の3ヶ月分とも言われています。

更に採用にかかるコストも膨大です。今となっては100万円以上は計算せざるを得ません。


このように、マネージャーが目標の達成(ゴール)を意識していれば個々の結果を叱責することをしなくなります。それでは課題は解決しないからです。

解決しないことに労力を惜しんでもムダだと知っているのです。


課題解決の糸口はそこにはありません。

なので、組織改善の根本的な課題はどこにあるのかを見極めて、すぐに改善実行に取り組まなければならないのです。


ピンチでマネージャーの実力があらわになる

このように、ビジネスの現場ではいかなるピンチに遭遇しても、ブレずに目標を達成する愚直な姿勢こそがプロのマネージャーに求められる資質なのです。


そのためにも、最悪な状況下でも感情に流されず、その時の最適解を見つけ出し、そして実行する力が求められるのです。


ラクか大変かや、自分が評価されるかどうか、まして部下を叱責して自分が感情的にスッキリすることを求めることは目的からズレることになるのです。


今、中小企業では自社の管理職の働きぶりに満足している経営者は必ずしも多くありません。生産性が慢性的に上がらない状況を見ればそれは当然なことです。


このように停滞する現状を改善する一つの解として、リーダーが米国チームのコーチのような能力を身につけることが必要です。

それは、合理的な判断力と実行力、また自己を管理する能力を身につけることに他なりません。


皆さんの会社には、これらの能力を身につけたプロ意識の高いリーダーはいますか?



最後までお読みいただきありがとうございます。

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