熱く「言い聞かせる」と人は動いてくれないまさかの理由
- ナカジマ

- 4月25日
- 読了時間: 5分
更新日:4月28日
相手が何度言っても分かってくれない時や、自分のアイデアが正しいと確信した時、つい熱くなり相手やチームを説得して「言い聞かせる」ことをした経験がある方は多いと思います。
その結果として、相手を行動させることができた時に、ある種の満足感と達成感のようなものを覚えるのではないでしょうか。
また、納得して行動してもらうことができたと思いほっとするのではないでしょうか。
一方で、その時に「聞かされる側」にいる人はどういう精神状態にいるか想像することはありますか。
実は、私達は誰もが「自分の自由な意思決定」を奪われることがとにかく苦手です。これは相手が子供だろうと部下だろうと一緒です。
だからこそ、相手を言い聞かせて行動させることが得意な人は注意が必要です。
自分の思いどおりに動かし続けた代償として、ひどい場合は相手を鬱状態にさせたり、一生忘れられない恨みを買ったりするなど、相手の心に見えない傷を負わせることになりかねないからです。
ちなみに、この国では「意思決定の自由を奪う」行為は刑法違反になります。
脅迫罪、強要罪、詐欺罪等は、それぞれ手段は違えど意思決定の自由を奪うことにより成立する犯罪なのです。

自由な意思決定を奪われることによる無力感
これはいわゆる生き方や信念、道徳観や倫理観を真正面から否定されたことになるからです。これをされると誰もが絶望します。人種差別を味わった時の絶望感に似ている気がします。
無力感に襲われ、言い返そうとする気力や意欲を失います。
なぜなら相手が発する言葉は全て、いわゆる「後出しジャンケン」だからです。
自分がどんな言葉を並べようとも、後出しジャンケンである以上、相手が100%勝つ構造になっているのです。この構造を目の当たりにした時に無力感にさいなまれるのです。
相手から言い聞かせられることや納得させられることが続いた人は、やがて自発的な行動を起こすことが苦手になります。
何度言っても、行動や姿勢を変えようとしない人や意見を言ってくれない人はまさにこの状態に陥っていると疑われます。
なかなか結果が出ない人やいわゆる「仕事ができない」人であっても、彼らには彼らの言い分があります。そこには、その人の生い立ちや過去の営みから育まれた、他人が知り得ない独自の論理があるのです。
それにも関わらず、成績の悪化や、進捗の遅れ、またミスコミュニケーション等が続くと、会社の構造上、上司から厳しい指摘を受けがちになります。
その結果、冒頭のことが起きるのです。
「 何度言っても分かってくれない時、自分のアイデアが正しいと確信した時、つい熱くなり相手やチームを説得して「言い聞かせる」ことをした 」です。
無意識に心地良さを求めることのリスク
その上、熱意があることと大きな声を上げることを混同している人は、大きな声で熱心に相手を説得しようとさらに熱くなります。
熱い説得の結果、たまたま相手が黙って従ってくれた場合、伝え手は自分の中に小さな成功体験を覚え、脳がそれを学びます。その結果、その後も説得という手段を繰り返すことになりやすいのです。そこに「自分は間違っているかも?」という疑問が浮かぶことはありません。
一方で、説得された側の脳の中は「不愉快さ」に支配されている場合がほとんどです。
仮に、言われたことに従い行動したとしても、それは本質的な行動変容にはなっていないのです。内心では嫌々ながら仕方なく行動しただけなのです。

結論:相手の誇りに傷をつけることは最悪手
最優先で自制したいのは、相手の自由な意思決定を奪うような論破や命令による指示をしないことです。
確かに、行動を強制することは緊急事態の下では必要です。だからこそ、それが有効に機能するようにその時まで使わずとっておくことが大切です。
それ以外の場面では、信頼を強めることと相手の誇りに傷をつけないことを優先したいところです。
相手の誇りを傷つけて、自尊心を削ることをし続けた結果、それを受けた人は攻撃してくる特定の人の前では自信を持てなくなります。特定の人の前では、ちょっとした絶望状態になるのです。
ひとたびこのような相互関係ができてしまうと、その人が自信を取り戻し、自らの自由な意思決定により行動を変えることや、本音で意見を発してくれるようになるには長い時間を要することになります。
部下から意見が出てこない。議論にならない。何度言っても変わってくれない。
このような課題感に心当たりがある方は、振り返ってみることをオススメしたいです。
最後に:人が健全に行動を変えるプロセス例
では、どうやったら人は自ら行動を変えてくれるのでしょうか。
そのメカニズムについて最後にお話したいと思います。
誰かから助言や指摘をうけて、人が健全に行動を変えるには、以下のプロセスを経る必要があるのです。いわば自発的に行動を変える必要条件です。
自分が信頼する相手から言われる。
言葉に自分への敬意を感じる。
言われる内容が自分の誇りを傷つけないことが大前提。
まずは自分の話(現状)を本気で聞こうとしてくれる。現状に関心を示してくれる。
そこで具体的かつ論理的な助言をもらえる。感情論や非合理性を感じない。
自分の信念や倫理観、生き方を言葉でも態度でも否定されない。
伝え手側が心地よく感じる話にならない
伝え手が、簡単には理解してもらえることはないという現実を受け止めている。
行動が変わらない時に、怠惰や意欲不足が原因とは捉えず、それ以外に要因があることを謙虚に受け止め見つけようとする基本姿勢がある。
行動を変えるようになるまで、伝え方や内容、その他の要素について、自発的に改善を繰り返す。例)まず見本を見せる、信頼される努力をする、伝え方、言葉選び、ツール、時間帯、頻度、表情、声の大きさ、話すスピード、添付する資料、たとえ話の種類、等を変えて改善を重ねる。
いかがでしょうか。
行動が変わらない相手に対し、熱く説得しようとしていませんか。
最後までお読み頂き誠にありがとうございます。




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