2024年問題が話題になる中で、マスメディアでは残業時間の量ばかりが取り上げられがちです。
「働き方改革=残業改革」だと誤解している人は意外と多いのではないでしょうか。
実際に働く現場で「働き方改革」の捉え方は様々なようです。2つとして同じ会社はありませんので当然のことではあるのですが。
そんな中で、月間50時間以上残業をしても「やり甲斐を感じる!」と言う人と、20時間の残業でも鬱になる人といるのが実情です。
みなさん、なんとなく思い当たることがあると思います。
では、これは一体何を示唆しているのでしょうか。
もちろん、母数の大きな統計データを見れば、残業時間と社員の精神的なダメージにはある程度の相関は認められるのですが。ご存知のとおり、統計のモデルとなる平均的な社員など一人もいないので、こういう統計にはあまり振り回されないようにしないほうがいいです。
残業減ではなく生産性のアップを目指す
2019年4月に働き方関連法案が施行されてから5年が経ちました。この間、残業時間削減を掲げる会社が増えました。これ自体はとても大切なことだと思います。
しかし、働き方改革の本質は残業時間を減らすことでも有給休暇の取得率を上げることでもありません。
残業時間や有給休暇は「働き方」を改革するプロセスの中で、確かにひとつの目に見える指標ではあります。
言い換えれば、残業減等の数値は手段であって最終的な目的ではないということです。
働き方改革の目的は、だらだらと長時間働かなくても、しっかり稼げる生産性の高い会社にアップデートすることです。
働き方を変えることで今よりもっと稼げる会社になることが本質的な目的のはずです。
社員が本質的に求めるもの
生産性の高い稼げる会社になるために最も大切なことはなんでしょうか。
それは働く人達が主体的に意思決定できる環境を整えることです。
これが最も大切なのです。そして多くの会社で最も不足していることでもあります。
正しいことを堂々と口にし実行する。おかしいことには「おかしい」と言える環境を作ることです。
いちいち上司から指示されなくとも共有できる分かりやすい「基準」を作ることです。
なぜなら、自由な意思決定が担保されていない組織では、社員の考える力が奪われることになるからです。
そして、社員の考える能力が退化してしまえば、社内の生産性は低下の一途をたどることになるのです。
求められるのは勤務時間、休暇数、給与ではない
社員がその会社で働く理由は様々です。定量的に比較検討できる要素であるはずがありません。
年収、休暇日数、残業時間等、数値化されるものは全て比較検討可能です。なので、もしこれらを理由に働いている人がいるとするのなら、これらの数値がより優れている職場を今後も探し続けることになるのですが。
なのに、これらの数値を理由に転職する人はそんなに多くはありません。
なぜでしょうか。
ある社長さんが言っていました。
「うちの会社にはジョンソン&ジョンソンの元役員や東京三菱銀行の元幹部が働いてくれているけど彼らの給与は25万円だよ。ウチは地方企業だからね。しかも、事業提案までしてくれる。本当にありがたい存在だ」と。
この社長さんは、人が「働くこと」に求める本質を見抜いた上で、社員に適材適所な役割と権限を与えているのです。
このような人達が会社で働く理由は、休暇日数や給与が多いからではないので、給与が必ずしも多くはなくとも熱心に働いてくれるのです。
この社長の下で働く社員さんは、給与以外の環境を与えられていることにより重きをおいているのです。
プレゼントを渡したり、お金を渡したり等を何より喜ぶ人と、責任と権限を与えることでやり甲斐を感じる人といるのです。
どちらが生産性が高い人で、どちらの人を会社が望むのか。言うまでもないことですね。
社員にエンゲージメントを高めてもらうには?
社員が高いエンゲージメントで働いてくれる理由は、必ずしもモノやお金のためではないのです。
確かにそれらも大切で多いに越したことはないのですが。必ずしも一番重要かというとそうでもないのです。
権限と責任「あなたがいなくては困る」という状況は、そこで働く人にとって何にも代え難い価値があるものです。
組織に必要とされたい欲求や、組織・社会に貢献したい欲求は仕事をすることでしか満たされることはありません。お金は宝くじでも相続でも手には入るし、貯めておくこともできるのですが。
ここを履き違えているのではないかと最近東京で営業をしていて感じました。
みなさんは働くことにおいて、何を最も大切だと感じますか?
自問自答したことがありますか?
おそらく、100人にこの質問をすると150個くらいの回答がありそうですが。
最後に経営者の人にお聞きします。
自社で働くことでしか満たされない理由を社員に与えることができていますか?
最後までお読みいただき誠にありがとうございます。
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