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スマホ世代が毛嫌いする「ギャップ」の正体

更新日:5月26日

5月病の季節真っ只中ですね。

若者の中には、自分の都合ばかりを主張して、積極的に職場に適応しようとしない人も見かけます。これについては昔から会社にとっての悩みの種でした。決して今始まった課題ではありませんね。


些細な言葉にストレスを感じる若者が多い中、先輩達の立場からすると「言葉の節々に一々引っかからずに聞き流せばいいじゃないか」と思うのではないでしょうか。


こうした若者達が感じるストレスは、次のような行動パターンとして現れがちです。

  • 思っていた職場と違うと感じて意欲が無くなる。

  • 自分のやりたいことと違うと早々に決めつけ意欲を失う。

  • 厳しい就職活動を経て採用してもらったにもかかわらず会社をすぐに辞める。


私は、このような行動パターンが見られる人達を「スマホに慣れた人達」という視点で捉えています。

ここでは、彼らが感じるストレスの本質を紐解いてみたいと思います。



スマホにはトリセツがない

スマホの特徴のひとつに「取扱説明書」がない点があります。

電化製品にトリセツが付いているのが当たり前の時代を思えばこれは大きな進歩です。それなのに、ほとんどの人はその理由までは考えたことがないはずです。


どういうことかというと、スマホはトリセツという「正解」に沿って間違えないように使うのではなく、生活の中で進化してきた人間の脳が直感的に操作することによって使いこなせるように設計されているのです。


これがUI(ユーザーインターフェース)です。

インターフェースはこの国では比較的新しい概念で、使い手と道具の間を繋ぐモノのことを意味する概念です。


インターフェースが優れていると直感的にスイスイ操作が進むのですが、そうでないと使いにくさを覚えます。何かにつけて操作が止まり、やがて使わなくなってしまうのです。


私達の脳は一連の操作の流れ(クセ)から次の動作をその延長線上に無意識に予想します。次の動作の合理的な予想をパターンとして認識し、疑うことなく行動しようとします。


具体的な例としては以下のようなことです。

  1. 1、2、3のあとには4、5、6が来ると予想する。突然10が来ないと。

  2. 水は上から下に流れると理解している。途中で突然凍りつくことはないと。

  3. 自動ドアが空いたら数秒間は空いたままだとの認識がある。急には閉まらないと。

  4. 髪が長く、スカートを着てウエストの細い小柄の人を見ると女性と認識する。無精髭を生やしているオジサンとは思わない。


以上の4点は無意識のうちに脳がパターンとして認識しているのです。イチイチ頭を使って必至に考えるプロセス無しにすんなり予想できるのです。イチイチ疑うこともありません。


無意識とは言え、想定通りのことが起きると心地よく感じられ、無理なく行動を進めることができます。ボタンのような形があると押したくなる。赤い字で描かれた表示には、ある種の危険を感じる等も同じようなことです。


インターフェースによって動作を直感的に心地よく誘導され続けたこのような人達の脳は、トリセツ(合わせなければいけない正解)よりもインターフェース(文脈からの合理的な流れ)にすでに適応しているからです。


スマホに慣れた人達の思考法を理解しようとする際には、このインターフェースの概念を理解することが重要となります。


スマホが普及して10年以上経ちますが、コミュニケーションの中心が人ではなくスマホになっている人達の思考パターンには、このような側面があることも無視できないことなのです。


人間関係にも合理性を無意識に求めている

このような人達は人と人とのコミュニケーションにおいても、意識はなくとも脳が勝手にインターフェースを意識していると思っています。


人にはインターフェースの概念を持ち込むことは無意味です。それは私達は機械ではなく生き物だからです。生物なので感情も体調も刻々と変わるのです。


その理屈をわかっていても、脳は理屈を無視して勝手に合理的に働こうとしてしまいます。スマホに慣れたことで合理的な予想を立てることに適応したからです。


一つ話を聞いて理解すると「きっと次はこうなるだろう」と無意識に脳が予測するのです。脳の能力がそのように発達(適応)したからです。


これはスマホを使い続けることによる脳の進化・環境適応のひとつなのでしょう。説明書なしに直感的に操作できる能力をすでに身につけて適応した結果なのです。


だから昔の電化製品よりも比較にならないほど複雑で、且つ、機能が煩雑にできている機械であっても難なく使えてしまうのです。良し悪しは別として、直感的に操作できるように脳が進化している証です。


脳の進化が仇となる

一方で、その脳の進化(スマホへの最適化)が仇となっている部分もあるのです。


自然な流れで次に起こることを無意識に予想するために、予想とは違った時の不愉快さ(受けるギャップ)がトリセツ世代に比べて大きいことです。


一方で、トリセツ世代の人達は「書いてあるとおり正解(取説)に合わせよう」とする脳が発達していたので、組織に言われたことに対し有無も言わずに合わせることが得意技だったわけですが。


「若者は柔軟性に欠けている」や「忍耐力がない」と言いたがる人は、まさにこのような現状を理解したがらない世代の上司達ではないでしょうか。


もはや意識的にはコントロールできない無意識な脳の働き(スマホへの適応)が関係しているこの実情を受けとめられないのでしょう。


もし、このような上司が、今の社会に適応した脳とは最も馴染みが悪い要求を無意識ににしているとしたら、当然の結果としてスマホ世代の人達は拒否反応を起こすわけです。


スマホ世代の人達は(というよりスマホに慣れた脳が)会社に対しても最適なインターフェース(一貫性が高く、わかりやすく、合理的に話しが繋がっている状態)を無意識に求めているのです。


理屈では、会社は様々な人達が様々な目的で集まっているところなので、全てが合理的にできているわけがないと理解していたとしても、それに脳が適応するのにはストレスがかかることでしょう。


そんな中で、自分の合理性から導き出された予想と違った判断や指示を会社から受け取ると

ギャップを感じ不愉快さを覚えるのです。そしてそれが日常化していて改善しそうにないと判断すると失望するわけです。


これは、インターフェースが不足している機械を手にした時と似ています。せっかく買ったのに気づくと使わなくなってしまった経験は誰しもあると思いますので。


これが、良くも悪くもインターフェースに慣れた(適応した)脳が感じるストレスの正体です。

「ギャップを感じる」と言われる現象が起こっているコミュニケーションの構造なのです。


解決策

ここまで書くと「大変だ」と思われるかもしれませんが、もちろん解決策はあります。しかもシンプルです。


やるべきことは、合理的な組織運営をすればいいのです。

正しいことを正しいと言い、おかしいことをおかしいと言う。当たり前のことを当たり前にする企業文化を整えればいいのです。


欧米やアジア諸国では、随分前から社会の合理化が進んでいるので、人間関係も日本に比べれば圧倒的に合理的です。多民族国家であることから、宗教も文化も違う人達の間では忖度など機能しないので合理的にならざるを得ない状況も後押ししているのだと思いますが。


行きたくもない飲み会に我慢して参加する人はいませんし、有給休暇を使い切らない人も稀です。

権利は合理的に主張するし、それが非合理的に拒絶されることもありません。


このように、改善策として会社が目指すべき組織文化は実にシンプルなのです。


実力がないのに出世したり、仕事でミスをしただけで人格まで否定する。

これらが"当たり前"になっている会社は、あまりに非合理的すぎるので欧米社会では受け入れてもらそうにないですから。


好循環が起こる具体例

では、何から手をつければ良いのでしょうか。


これは、会社が理念・ビジョン・行動基準から戦略、戦術、マネジメントに至るまで、全てにおいてブレずに一貫性を保つ努力をすれば解決するはずなのです。


そして、一貫性を持つと、それがやがてその会社のブランド価値になり、市場では差別化の要素となります。差別化できると会社と顧客の間でミスマッチが起きにくくなります。

結果として相見積案件が減るので、利益率があがります。


例をあげるならスターバックスの世界観がそれに当たります。

「第三の場所」を提供することで代金をいただくビジネスモデルなのですが、商品、内装、採用、マネジメント、行動基準に至るまで、全て「第三の場所として相応しいか?」の問いにかなっているかだけで判断しています。


結果として、どこの店舗に行っても、一貫したコンセプトを強く感じるのでお店のことを好きな人も嫌いな人もハッキリするのです。


もちろんこれは、労働市場でも同じことが言えます。

若者の離職率も減る上、ミスマッチしない良い人材が集まりやすくなる。


いわば良い事ずくめというわけですね。


なので、理念から行動基準まで再整備を図り、現場の社員が経営者と同じ言葉を対外的にも当たり前のように社内共通語として発することができるようになれば多くの課題が一気に解決に向かうのです。


営業戦略も採用戦略もとりたてて新たに作り上げる必要もなく、ひとつの一貫した流れの延長線上で集客や社員募集をするだけでよいのです。それだけで全てが好循環を生んでいくことが容易に予想されます。


今の時代特有な課題ではない

ここまでお話して、勘が鋭い人であれば、ひとつのことに気づいたことでしょう。


それは何かというと、このことは今の時代にはじめて言われたことではないということです。

スマホ普及の10年以上前から言われていたことなのです。


  1. 経営理念、ビジョンから行動基準までを整備して現場へ浸透を図る。

  2. 経営の判断はもとより、あらゆる部署での具体的な判断は全てこれらを判断基準とする。

  3. 場当たり的なことをしない、言わない。するのであれば、合理的な理由を添える。

  4. この基準からたった一人でもブレる社員を受け入れない。その文化を日々強化する。

  5. 言うまでもなく、経営層が誰よりもその模範を示す。


いかがでしょうか。 整理すると以上の5点に言語化できます。



スマホの普及の過程でインターフェースの概念が普及し、それによって人々が(というより脳が)意識しなくとも以前より合理性を求めるようになったので、今はまさに組織マネジメントを進化させるまたとないチャンスなのです。


ここまで読んで、今そう思えた経営者のみなさんは、今後も組織を進化させることにより発展していく人なのだと、僭越ながら確信しています。



最後までお読み頂きありがとうございました。

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