アレコレ手を出し疲弊する組織の落とし穴【プロの登山家に学べ】
- ナカジマ

- 7月16日
- 読了時間: 4分
最新テクノロジーと情報爆発の時代では、良さそうな道具や上手くいきそうな理論など、投資してみたいことに事欠きません。
成功事例にあふれ、にわかに注目を浴びるようになったヒーローのような経営者が、日々メディアをにぎわしています。
そのため、つい自分たちも「時代に乗り遅れてはいけない」という危機感から、良さそうなことには手を出してみたくなるものです。
流行りの1on1ミーティングの義務化、現場が使いこなせない最新DXツールの導入、目的があいまいなまま立ち上がった新規事業コンテストや、カタチだけのSDGs推進プロジェクト……。
気づけば、本業と並行してこれら多くの取り組みを同時進行させ、会議の数は増え、優秀な社員は業務をいくつも掛け持ちし、疲弊していく。そして結局、あらゆる施策が中途半端に終わってしまう。 このような会社が実に多い印象を受けます。
経営トップは、多くの施策を同時進行していれば「どれか当たるだろう」という安心感から、なかなか数を減らそうとはしないのでしょう。 自ら一度決断した施策を自ら否定し、ストップすることも勇気のいることですし。

プロの登山家の「鉄則」
では、そんな「良さそうな」施策にたくさん手を付け、社内が疲弊している会社を改善するには何が必要なのでしょうか。
この解を考えるに際しては、プロの登山家の「鉄則」がひとつのヒントになります。 彼らが何より最優先することは何なのか。
登山界にも、最新の理論や最新の技術、優れた道具が次々と導入されています。 確かに、昔のやり方を変えられない人と、最新技術を使いこなす人とでは、結果も大きく変わるようです。
そんな中、時代が変わってもなお、彼らが絶対に譲らない最優先事項があります。
それは「荷物を軽くすること」です。これが絶対的な最優先事項なのです。
最新のテクノロジーや装備品だからといって、そもそも論として荷物が重くなるようでは本末転倒だと捉えるのです。
自身の身体能力を鍛えることと並行して、少しでも軽い身体と荷物を作り、足腰への負担を減らすこと。 いかに身軽にするかに工夫を凝らすのです。
まさに足し算ではなく、引き算です。
極限状態で試される真の実力
なぜ彼らはそこまで「軽さ」にこだわるのでしょうか。
それは、「もう一歩も歩けない」という極限状態の下では、お金も最新テクノロジーも機能しないと知っているからです。
そういう絶体絶命の状況下で必要なのは、少しでも軽い身体です。もう動けないという極限状態で、最後の一歩を踏み出すその重さをいかに軽くできるかどうかが、勝負を分けるそうです。
これは本来、ビジネスも同じはずです。
たしかに業績が良い間は、荷物(無駄な施策やツール)が多くても差がつきにくいですし、課題にも気づきにくいものです。
しかし、それが一転して絶体絶命のピンチになると、何が本質で何が見せかけなのかが容赦なく剥き出しになります。
ビジネスにおいて決して避けられないことのひとつは、登山と同様に、極限状態のようなピンチが時々やってくることです。
そして、そこでは抱えている「荷物の重さ」が、ピンチを突破できるかどうかを決めるのです。ギリギリの極限状態から「もう一歩」を踏み出せるかどうかで、結果が決まるからです。
まして、本当のピンチの最中には、たくさん揃えた最新の道具の中から「どれを使ったらいいのか」を冷静に選ぶ気力すら残っていないものです。
最後に頼りになるのは自分の身体、いわゆる真の実力である「人間力(頭と心と身体能力)」だけなのです。
いざという時に粘れるチームとは
普段から最新の道具に頼りすぎ、それらを使って前進することだけを覚えた組織は、いざという時に使い物にならないものです。 道具がないと粘れないのです。
しかも残念なことに、ビジネスの現場において「いざという時」は突然やってきます。この想定外のピンチは絶対に避けられない事実なのです。
だからこそ、普段から「荷物を軽くすること」を経営の優先事項に掲げる文化が必要なのです。
業績が良い時だからこそ、あえてムダな肉を削ぎ落とし、良さそうな装備や最新の道具に頼らず、真の実力をつけることに磨きをかけるのです。
最新の装備への投資を増やすのではなく、今いる社員の人間力を鍛え上げることです。
そして、想定外のピンチが来た時でも慌てず、身軽に小さくまとまって危機を突破できるチームに鍛え上げておくことが大切なのです。
良さそうなものに片っ端から投資して組織を疲弊させるより、まずは自分たちの頭と心と身体能力を鍛え上げておくこと。 いざという時のために、いつでも身軽に動ける「引き算の経営」を心がけることなのです。
いかがでしょうか。
あなたの組織は、良さそうな道具や施策という重い荷物を背負い込みすぎていませんか? そして、いざという極限状態でも最後の一歩を踏み出せる「真の実力」を、日頃から鍛えていますか? 最後までお読み頂きありがとうございました。




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