できる社員を辞めさせない方法とは
- ナカジマ
- 6月11日
- 読了時間: 5分
更新日:1 日前
どの組織にも会社を支えてくれるエース社員はいるものです。
彼らが職場に求めるレベルは想像以上に高いので、上司は何かと気を遣いがちです。
周囲が良かれと配慮したことで、エース社員に失望されることもしばしばです。その上、厄介なことに失望したことを彼らは教えてくれません。
最悪の場合、彼らは社交辞令だけを残し、組織を去ることもあるのです。
では、本当にプロ意識の高いエース社員の士気を下げない配慮とはどういうものなのでしょうか。
結論から言うと、子供扱いをしないことです。
プロ扱いすることを一貫して徹底することです。
当たり前だと思うかも知れません。 ですが、ほぼ全ての中小企業ではこれができていないようです。

優秀な社員を手厚く扱うのは逆効果
仕事をどのレベルでやらなければならないのか。どうやってやるか。なんのためにやるのか。
これらwhatとhowとwhyを一般的な視点で伝えようとせず、全てを任せて信頼し口出ししないことが大切なのです。
組織の目指すところと、社会での使命を理解してもらったら、目標となる数値と期限を与えて任せればいいのです。
彼らは痛い・苦しいとは言ってきません。一般人とは違い自分を律する力も桁違いです。そういう限られた超優秀な人達なのです。
超人扱いして任せればいいのです。
あとは口出しせずに「大船に乗ったつもり」でひたすら待つことです。 待つことが仕事なのです。
任せて放ったらかしにして、それを高いレベルでやってもらうことを当たり前のように接するのです。
むやみに称賛する必要もありません。当然だという顔をしておけばいいのです。
日本の会社では、これを最も苦手としているようです。
自分が一般的な視点で長年働いてきているので、相手を超人として認める勇気がないのです。 まして、VIP扱いするなどは、優秀な社員を逆撫ですることにしかならないのです。
過去のパターンや自分たちの常識を当てはめようとしないことです。
彼らはプロなので、一般社員と同じように扱ってはいけないと承認しなければならないのです。
メジャーリーグと日本のプロ野球の決定的な違い
一つの例をあげます。
最近ではTVでも見ることが多くなったメジャーリーグを思い出してください。
前提となるリーグの概要をお伝えすると、MLBに所属する選ばれし選手は約1000人弱。
その傘下には、隙あらばと日々爪を磨いている屈強なマイナーの選手達が約5000人いるのです。
この1000人は世界各国から選ばれし特別な選手達ばかりです。
だからメジャーリーガーは世界の野球界の頂点に君臨する超人達なのです。
日本でも海外でも本格的に野球をやっていた私の目から見て、日本のプロ野球選手は彼らと比べると少々格下だと言わざるを得ません。
***
さて、想像してみてください。投手の投げた150kmの剛速球が打者の腰に当たりデッドボールになった場面を。
日本のプロ野球では当たり前のように決まった対応がとられることになります。
コーチが自軍のベンチからトレーナーを連れて飛んで来るのです。
なにやらスプレーを患部にかけたり、選手と話をしたりという光景を見ることになります。
これに対して、選ばれし超人がそろうMLBではどうでしょうか。先日もスーパースターの大谷選手(投手)が右肩付近にデッドボールを受けましたが。
ベンチは相手投手へブーイングを送りますが、自軍の打者へ駆け寄ることはありません。
日頃から鍛え上げている自軍の選手がいかに屈強かを理解しているので、子供扱いするような失礼なことはしないのです。
「大丈夫か?」と声をかけることもありません。プロ意識の高い自軍の選手を頼まれてもいないのに心配するとは彼らの権威を損ねることになるからです。
ボールを当てられた選手にとっては「俺を誰だと思っているんだい!こんなボールで怯むような俺様ではない」という姿勢をここぞとばかりに見せつける場面なのです。
なぜなら、彼らは日頃からの絶え間ない努力により鍛え上げられた超人であることを自分自身に証明しているのです。誰より影で努力を積み重ねていることを誇りに生きているからです。
一般人が手取り足取り支援することは、そんな彼らの権威ある生き様を侮辱する行為になり兼ねないのです。
できる社員には手を出さずに敬意を払うこと
いかがでしょうか。
これが、本当にできる社員を社内で雇った際の扱い方です。
マネージャーは彼らを一般社員のレベルに合わせて対応せずに、常に超人である相手の視線に敬意を払うことが求められるのです。
手を貸そうとすることが時に彼らを侮辱し、士気を下げることになるのです。
一般社員とは真逆の対応になるので、ほとんどの会社が勘違いをして困惑するのです。
これを日本で最も得意とするマネージャーの一人が、日本チームをWBCで世界一に導いた栗山監督なのかもしれません。
これと言って具体的な指示や戦術を示さずにスーパースター達の自主性を信頼し「日本の野球の伝導士たれ!君たちを信じる!」とだけ伝えてプロ集団の士気を高めたのです。
さて、御社ではエース社員の能力をフルに発揮できていますか。
彼らにふさわしい対応をしていますか。
敬意を払い、全てを任せて信頼し、我慢して待てているでしょうか。
最後までお読み頂き誠にありがとうございます。
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